タイマイ(ウミガメ科)

タイマイ(玳瑁)(別名:ベッコウガメ)

タイマイは、世界の温かい海に広く生息するウミガメである。
日本では沖縄本島以南、先島諸島などで、まれに産卵が確認されている。
世界的な産卵地は、カリブ海、ミクロネシア、ポリネシア、インド洋のサンゴ礁が発達した島嶼域に点在している。

<特徴>
最大で甲長約1メートル、体重は100キログラムほどになり甲羅に特徴がある(写真参照)甲羅は美しいベッコウ飴のような色合いをしており、古くから髪飾り、櫛、帯留め、楽器のバチ、メガネフレーム、工芸品などの材料として珍重されてきた。この甲羅を煮て加工する技術は「ベッコウ細工」と呼ばれている。
かつては甲羅が高値で取引されたため、乱獲が進み、タイマイは急激に数を減らし希少種となってしまった。現在は国際条約により、その輸出入が禁止されている。

<食性>
主な食べ物は、カイメンやヒトデ、イソギンチャクなどで、サンゴ礁・岩礁のすき間にいる生き物を食べるため細く尖った口をしている。英名は「ホークスビル(Hawksbill)」で「鷹のくちばし」に由来している。

毒を持つヒトデやイソギンチャクなどをエサとするためか、タイマイ自身の肉も毒化することがあり、人が食中毒を起こすことがあるらしい。タイマイのタイの字には「王偏に毒」の漢字が使われることもあり、昔の人の知恵で注意喚起していたとも言われている。
和名のタイマイは、漢字の「玳瑁」の読みからである。

<伊豆大島での記録>
伊豆大島では、以下のようなエピソードもある。
2007年12月6日、岡田港の漁師が小口岬沖にて水深8メートルほどのイセエビ漁の刺し網を引き上げた際、タイマイが掛かっていた。ウミガメ類は肺で呼吸するため、水中で長時間息継ぎができないと溺れてしまう。この時のタイマイはぐったりしていたが、間もなく息を吹き返した。個体の甲長は約35センチ、甲羅の幅は約29センチ、体重は5.32キログラムであり、まだ子ガメの大きさであった。その後、連絡を受けた八景島シーパラダイスの職員が引き取りに来て、水族館で保護された。体力が回復し、水温が高くなる頃に放流される予定とのことだった。

タイマイの漂着体を確認したのは、1992年以来では画像右側の1個体(2010年6月)だけだが、泉津秋の浜沖で海底に沈んでいる本種死亡個体を知人ダイバーが発見し撮影したものを確認している。
付近に刺し網が仕掛けてあったといい、放流された死体の可能性があった。ウミガメ類に限らず混獲で死んでいる場合は、ニュースなどとして扱えば批判の的ともなるだろう。
また、この他にも大島沿岸での生きているタイマイの混獲ニュースを聞いている。

これは剥製で、甲長36.7センチ。甲羅の背中側の鱗板が、屋根瓦のように後方の板の上に重なっているのが特徴。甲羅の色は金色がかった黄色に、黒っぽいまだら模様が入り、美しいベッコウ飴のような色合いをしている。背甲の大きな鱗板は、中央タテに5枚、その両側に4対が並ぶ。(2025年の画像)

伊豆大島では、タイマイの漂着は非常にまれで、これまでに確認されたのは、2010年6月、長根浜北側で背甲が一部剥がれた個体(甲長27.5センチ)の1例のみである。

もどる

トップページへもどる