ヒメウミガメ(ウミガメ科)

世界の海洋に生息する7種のウミガメのうち、日本近海には5種(オサガメ、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ、ヒメウミガメ)が生息している。この中でヒメウミガメだけは大島で漂着体が確認されていないが、伊豆諸島近海で捕獲されたヒメウミガメの剥製を見ることができる。

ヒメウミガメは世界中の熱帯・温帯海域に生息し、西日本沿岸では稀に漂着情報もある。日本での産卵はない。
世界の産卵地はコスタリカの太平洋岸やインド洋などで、大集団が昼間に上陸産卵する「アリバダ(到着)」が見られる。

背甲はオリーブ色や灰色、腹側は淡黄色。背甲中央の椎甲板は5枚以上、その両側の肋甲板も5対以上のことが多い。13歳前後で成熟すると推定されている。
食性は甲殻類。和名の「ヒメ」は、他のウミガメ類に比べて小型であることからついた。


<ウミガメの潜水能力>
ヒメウミガメが外洋を回遊する際のデータには、高い潜水能力が示されている。
体のサイズが小さいにもかかわらず、最大の潜水深さは288m、潜水時間は3時間20分にも及んだ。これは、餌を捕る目的の潜水行動と推察されている。

ウミガメ類は、潜水中の酸素消費速度を鳥類・哺乳類と比べて極端に低く抑制している。
潜水中には、心拍数も極めて低下させる生理機能があり、酸素消費速度も低下させ長時間で大深度の潜水を可能にしていると考えられている。


ヒメウミガメの剥製。甲長約39cm。製作年・捕獲海域不明。波浮港の東京都島しょ農林水産総合センター大島事業所(旧水産試験場)で展示中。

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