コキクガシラコウモリ(キクガシラコウモリ科)
<分布>
日本の固有種と考えられている。北海道中南部、本州、四国、九州、佐渡、隠岐、壱岐、対馬、屋久島、種子島、伊豆諸島では大島、新島、三宅島、御蔵島、八丈島
<ねぐら>
洞窟、防空壕、大島では夜間の休憩所(ナイトルースト)として、車庫、物置、民家の軒下など意外に身近な場所も利用している。
<特徴>
体毛は淡い褐色。ニホンキクガシラコウモリと同属で外部形態がとても似ているが、大きさは2分の1ほどと小さい。顔の中央には鼻葉という器官があり、ここから超音波を発して周囲を認識し、虫を探知する。鼻葉の一部が馬の蹄鉄の形をしていることから、英名はJapanese little horseshoe batという。
洞窟などの上部からぶら下がっている時は、大きさが3~4cmほどでとても小さく、翼は広短型で飛翔は小回りがきき、狭い曲がりくねった洞窟の奥を利用することが多い。ニホンキクガシラコウモリと同じようなポーズで天井からぶら下がることが多い。メスはオスより大きく、高緯度の群れほど大きい。1産1子で、出生時の体のサイズが比較的大きい。わきの下の乳頭の他に、下腹部には1対の擬乳頭があり、子どもはこれをくわえて頭を上にして母親にしがみつく。22日ほどで飛翔可能となり、1か月半ほどで離乳する。性成熟は2年4か月ほどで、3歳で初産する。
活動状態の時よりも低いレベルに体温を設定し直し、代謝のコストを抑える非活動状態・鈍麻状態(トーパー)を春~秋の間に日常的に利用する。外気温には無関係に、自分で活動状態の体温に戻ることも出来る。設定し直す体温は、ほぼ気温と同じかプラス1℃ほどである。トーパー中に気温が限界レベルより低くなると生命維持が出来なくなるため、トーパーから目覚めて熱を発生させたり、暖かい所へ移動する。ニホンキクガシラコウモリとしばしば同じねぐらで見られるが、冬眠は浅い傾向であり、洞穴内外で採餌する。寿命は長く、21年の生存記録がある。小哺乳動物でありながら長寿命を可能としているのは、エネルギー消費を抑えるトーパーの能力を活用しているからと考えられている。
<大島での記録>
1993年~95年、都立大島空港の拡張計画に伴う環境アセスメント調査『評価書』で、「確認された哺乳類」として、元町風待地区でコキクガシラコウモリ。捕獲確認している。『資料編』によると、「風待地区の洞窟内で冬期に最大で77頭が確認され」、「秋季の夕方にも、洞窟から飛び出す300頭以上」がコキクガシラコウモリと推定されている。(文中で風待地区の「洞窟」とあるのは、民家の敷地内にある戦争遺跡の防空壕のこと)
2021年9月15日夕方、「コウモリの魅力を知ろう! わくわく探索ツアー in 愛宕山」が開催され、子ども8人、大人16人ほどが参加した。日没後に愛宕山北側にある防空壕から出て来るコウモリを探索した。大島公園の専門家の案内で、コウモリの発する超音波をレベルダウンして人間の耳でも聞き取ることの出来るバットディテクターという機械(B.D.)を使い、出て来たコウモリの超音波周波数を調べた。コキクガシラコウモリは高い音で、108kHzくらい。ピポピポピポッピピピ・・・。キクガシラコウモリは比較的低い音で、67kHzくらい。ビポビポビポッビビビ・・・。B.D.本体に付いているスピーカーまたはヘッドホンで聞き録音することも出来る。この夜は、コキクガシラコウモリが10頭ほど、キクガシラコウモリは1~2頭が出巣する場面に立ち会うことが出来た。(B.D.は英国製の2機種が使われた)

筆島海岸駐車場の公衆トイレ内天井に昼間ぶら下がっていたコキクガシラコウモリと見られる個体。

元町愛宕山の戦争遺跡トーチカ内天井にしがみ付くように止まっているコキクガシラコウモリと見られる個体。

差木地開拓地の民家で風呂焚口天井に2日間ぶら下がっていたコキクガシラコウモリ。大人の親指ほどのサイズ。2023年7月30日

北の山地区の町道上で轢死していたコキクガシラコウモリをネイチャーガイド氏が発見した。2010年12月。