アブラコウモリ(ヒナコウモリ科) 

<分布>
ロシア東方ウラジオストク北側地域から朝鮮半島、中国中東南部、台湾、海南島、東南アジアの一部、日本国内では、北海道南部、本州、四国、九州、南西諸島。伊豆諸島では大島、御蔵島で記録がある。

<ねぐら>
住宅地、都市部、建造物、家屋の屋根のすき間、瓦のすき間、戸袋の中、橋梁のすき間、洞窟にも。

<特徴>
体は背面が灰色がかったオリーブ色、腹面は灰褐色。幼獣は暗褐色から黒っぽい。市街地の池やプール、河川、線路、畑地など開けた場所の上空をひらひら不規則に飛び採餌する(例:東京上野の不忍池周辺で観察会が行われたことがある)。
繁殖形態は精子貯蔵型。日本では秋、10月が発情期で交尾をするが、卵子が卵管に放出されていないため受精はしない。冬の間はメスの卵管や子宮の中で精子が保存され、冬眠が終わる頃に排卵が始まり受精する。
英名のJapanese pipistrelleは、イタリア語で「コウモリ」を意味するピピストレロに由来する。別名「イエコウモリ」は、家屋をねぐらとすることから。

<生態>
日没の頃、まだ明るい時から飛翔し、口から超音波を発して採餌する。夕方なので目撃する機会が多い。大島では、ほとんど見られない。船の積み荷、資材などに紛れて移入している可能性も考えられる。
初夏(6月~7月)メスの集団で出産哺育コロニーを形成し、多くは2~3子を産む。新生子は1gほどで、その年の秋には性成熟する。コウモリとしては寿命が短く、メスで最長5年ほど、オスは1~3年。日本では、11月~3月頃に冬眠する。

<大島での記録>
1952年に東京都の衛生局がツツガムシの宿主として鳥類などの動物を調査した際の記録「伊豆七島の鼠について、七島熱の調査研究」に本種の存在が記されている。
 
2002年9月21日に東京都立南高校(現・都立海洋国際高校)の昇降口で衰弱個体1頭を保護したが死亡したため、後に国立科学博物館の専門家に同定して頂き、アブラコウモリのオスと判明した(写真参照)。
 
2021年9月18日波浮港上ノ山地区の民家で、熱帯低気圧の接近に備えてシャッター式雨戸を閉めたところ、シャッターと網戸の間に挟まるように小さなコウモリ1頭が現れた。シャッターと共に戸袋から出て来たものらしい。この時は外へ放したが、戸袋へ戻って来てしまう。コウモリを家人が怖がるので捕獲して虫かごへ入れ、知人が直線で4kmほど離れた民家へ運んだが、野生動物を飼育するわけにいかず、その場で放獣した。すると、また上ノ山の元の戸袋へ戻ってしまった。家人はコウモリの嫌がる臭いを戸袋へ塗ってコウモリ払いをした。その後コウモリは現れなくなった。このコウモリは画像からアブラコウモリと思われた。

2002年9月に死亡した個体を冷凍保存し、後に専門家が同定後に仮り剥製とした。これが腹側。

同じ個体の背中側。

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