アツバスミレ(スミレ科)

春本番となるころ、早春に咲くシチトウスミレと入れ替わるようにして、紫色の花が咲き始める。「スミレの海岸型」とも呼ばれ、葉が厚くてツヤがあるのが特徴。伊豆諸島、小笠原諸島、本州南岸に分布しており、伊豆大島では三原山から海岸までの日当たりの良い場所に広く見られる。

場所 三原山周辺・明るい森・民家周辺・海岸
季節 花は春(閉鎖花は夏〜秋も) 

三原山山頂口展望所近く。日当たりが良ければ、わずかな隙間からでも生えてくる。(撮影日 2021/04/07)

海岸近くの沢沿いに生える株。三原山周辺のものより葉が大きく、数も多く、たくましく感じる。(撮影日 2025/04/09)

花の色は、濃い紫からやや薄いものまでさまざま。(撮影日 2025/05/03)

スミレの花の後部には「距(きょ)」と呼ばれる、蜜の入った袋状の構造がある(他のスミレも同様)。(撮影日 2025/05/03)

花が終わるころ、つぼみのような形をした「閉鎖花(へいさか)」が伸びてくる。この中で自家受粉が行われ、タネがつくられるらしい。(撮影日 2025/05/10)

葉は、へらのような楕円形で、葉柄(ようへい)にはヒレのような翼がある。母種に比べて葉が厚く、ツヤがある。(写真は雨上がりのため特にツヤが目立つ)。(撮影日 2025/05/10)

熟した実の皮は、三つに裂けて開くものが多い。(撮影日 2020/05/22)

中にはタネがぎっしり詰まっている。(撮影日 2020/05/22)

実が四つに裂けて開くこともある。(撮影日 2020/05/22)

実が乾燥すると、皮が縮む力でタネをはじき飛ばす。室内実験では2m近く飛んだ!(撮影日 2020/05/22)

タネの大きさは約1.5mm。周囲をよ〜く探すと見つかるかも?種子には「エライオソーム」と呼ばれる白い物がついており、脂肪・アミノ酸・糖などを含んでいるとされる。(撮影日 2020/05/22)

アリはこのエライオソームを好み、タネを巣まで運ぶ。タネを自力で飛ばしたうえ、アリにも運ばせる作戦に感心!(撮影日 2020/05/23)

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